1940年代Dr.バスという学者があるひとつのことに注目しました。Dr.バスは微生物学者で熱帯病のマラリアの研究で著名な学者です。それは“バクテリアプラック”です。
口の中の300種類にも及ぶ細菌が一つの塊を作り、ひとつの小宇宙を作るということです。多くの細菌がその中で共存共栄し、生活をしています。その塊の周りはネバネバした粘液状のデキストランによって覆われ、その塊を保護していました。
その塊は平常歯ブラシの届かないところに形成されます。それは歯と歯の間、歯と歯肉との隙間でそのプラックのあるところに虫歯が発生し、歯肉に炎症が起こっていました。
プラックは細菌から酸が産出されエナメル質の硬質を溶解して虫歯が発生すること、プラックの細菌から産出される毒素によって歯肉に炎症を起こし歯を支えている骨を破壊して歯周病に進行することがわかりました。

そのプラックを分解分離すると無毒化されること、その細菌がバラバラでは[悪さ]をしないこともわかりました。今までのように歯にたまっている食べかすを歯ブラシで取るのではなく、プラックを[バラバラにする]こと、つまり[プラックをコントロールする]ことを提唱しました。
しかもプラックは一旦コントロールすると再びプラックを形成するまで24時間かかるということもわかったのです。ですから、1日に1回プラックをコントロールすることで充分なのです。
しかしプラックは通常のブラシの届かないところに形成されますから、その方法を変えなければなりません。
それは歯と歯の間、歯と歯肉の隙間のプラックをコントロールするにはフロスが主役であるということです。フロスを歯と歯の間に入れ、歯面をこするようにしてコントロールします。
歯ブラシも歯面に45度に入れてはブラシの毛を歯肉と歯の隙間に入れて静かに振動するように動かしてコントロールすることです。

粘着性があり、取り除きにくい (Dextran Levan)
透明なので染色しないと見ることができない
粉砕され非組織化されると無害になる
24時間に一度は取り除かなければならない
硬い面に付着して有害となる
唾液に耐える防護幕を持っている(Bacteria の Matrix)
形成されるため、生きていくためにSugarを必要とする
歯ブラシの到達しにくい場所に形成される

 

プラックは無色透明ですから、肉眼では見えません。食べかすではないのです。
左側の写真では、歯の面には何もついていないようですが、「テスター」を使って染めると歯肉のふちに赤く染まっているところがあります。その赤く染まったところの歯肉はよく見ると炎症があり、腫れているのがわかります。プラッグは歯垢ではないのです。プラッグがたまらないようにするには口の中の衛生環境をきれいにすることが重要になります。

それは歯科医が冠や充填物を入れるときもプラッグがたまらないよう、またフロスやブラシで隅々までコントロールできるような衛生的なものを作る必要があります。


修復物が歯に0.001ミクロンの誤差もなく精密なものを作る必要があるのです。これも歯科医が細菌と戦っていることなのです。歯科医は職人的な部分がありますが、この重要なことは科学者であるということなのです。

プラックを電子顕微鏡で見ますと、はじめは球菌が主ですが、だんだんと糸状の菌が多くなります。プラックも取れずに40日も経過すると糸状のスピロヘータなどの細菌より少し大きい微生物も増えてきます。

 

歯周病は歯と歯肉の隙間のプラックが原因ですが、その隙間の袋の中に300以上の種類の微生物が住み分けています。ですから、ある学者はこれらの環境は微生物にとってエデンの園だといわれています。
ですから、虫歯や歯周病を治療したり予防するには口の中の衛生環境をよくすること、そして家庭でプラックの形成をコントロールすることなのです。
バークレーというアメリカの学者は「70年以上も人々に歯を磨けといい続けていたが虫歯も歯周病も予防できなかった、このことは歯科医は社会に向かって謝罪すべきだ」といっています。

虫歯や歯周病を予防し治療するにはプラックの形成をコントロールする手段には2つあります。それは、定期的に専門家(衛生士)の手によって歯の隅々、また歯肉溝の中の方までプラックを除去することと、家庭で1日1回ブラシとフロスを使ってプラックをコントロールすることです。

そのような事からいえば、日本ではまだ歯は老化と共に失われると患者さん達も、又歯科医すらも思っているのでしょうか。健康保険ではほとんど歯周病には手を付けなかったのです。
プラックコントロールの重要性を方法だけでなく心理学的なモチベーションも含めて患者さん一人一人を大切に全人的なコミュニケーションを大切にすることが重要になります。

アメリカでは歯科医院に行く人のうち、歯が痛くて治療にだけ行く人はたったの12%ですが、他の67%の人々は定期的に検診に、また、口のクリーニングに行く人たちなのです。
日本ではたったの8%の人が定期的に歯科医院に行くだけなのです。いったいこの差はなぜでしょうか。日本もこれから歯科医院へは痛いときに行くところではなく、定期的に訪れるところというようにかえなければならないでしょう。

川村歯科のあいしくらぶでは30年近く会員の皆様の歯の健康のメンテナンスを行ってきました。川村歯科では口の中全体の検査をしてその上で予防を基本に虫歯、歯周病、そしてかみ合わせの治療を、長期にかけて科学的なひとつのコンセプトの基に治療を行い、健康なお口を創ってきました。そして定期的にメンテナンスを継続して行ってきました。
その結果を疫学的なデータを集積してきました。最近では医療の世界ではエビデンス・ベースということが重要視されています。それは、


ですから、?の病気と戦うにはまず口の中を徹底的に清潔にすることです。それは予防にもなり、治療にもなるのです。また歯の病気の細菌と戦うには歯周病の人では1ヶ月に一度、又は3ヶ月に一度、定期的に歯科医を訪れ口の中の徹底的な清掃を専門家の手で行うことです。少なくとも半年に一度の定期検診を行い、管理をすることが重要なのです。今の日本の歯科治療はこれらのことが充分行われていないのです。ただ歯が抜けていくことを年のせいにして手をこまねいているだけなのです。平均寿命が80歳ですが、命を永らえることに成功しましたが、歯を長持ちさせることに失敗したのです。

 


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