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昨年2001年12月に「H.D.Aグッドスマイルネットワーク」の主催で東京新宿三省堂文化会館にて「21世紀の歯科医療」についての講演会とシンポジウムが開かれました。
会には京都大学教授西村周三先生、長崎大学教授新庄文明先生、医療法人川村会会長川村泰雄先生、あいしくらぶ理事内海郷司先生、そして、あいしくらぶ会長中野道夫先生もゲストとして出席され、約200人の熱心な聴衆を迎えました。
日本の歯科医療の現状は歯科の国際的なレベルと比べその本当に惨たんたる状況にあります。800回という現実と共に、保険を中心とする歯科医療はただその場限りの緊急医療的となっており、制度的疲弊もあり、どうしようもない状況になっています。
この問題点について大変突っ込んだ議論が行われました。講義録を御希望の方はお申し込み下さい。 「H.D.Aグッドスマイルネットワーク」とは、川村歯科を中心とした進歩的な全国ネットの歯科医の会です。(現在22医院)
■定期検査の大切さ
長崎大学歯学部教授 新庄文明先生講演
@ 人口の高齢化
8020達成者と無歯顎者に分けてみた場合、入院医療費について、8020達成者は無歯顎者の1/5であり、一方歯科医療費については、8020達成者は無歯顎者の2.5倍になっております。すなわち、歯がある人が増えれば入院する人が減って、歯科にかかる高齢者が増える。歯が無い人が増えれば老人病院は忙しくなって歯科医院はヒマになる。ということが言えます。
A 住民意識の変化
「なぜ行政が取り組まないのか、なぜ歯科医や患者が実行しないのか」ということに移っています。
現在の英国流の歯科臨床感覚は、自分のフトコロ具合だけではなく、患者さんが何を考えているか、すなわちその人が健康について生活の中でどれほどpriority(優先性)をもっているか、健康全体の中で歯科保健についてどの程度重要性をもっているか、という個々の状況に応じて治療法を選ぶ方向に向かっています。
B 構造的な経済危機
英国では 1)「かかりつけ歯科医」をもつこと 2)疑わしきは処置をせず経過観察をすること 3)長期的な観察や指導ができる体制を構築すること という提案を出しました。
英国において、定期的に歯科を受診する人は7割にのぼります。
さて、日本においてですが、昨年(2000年)に発表された「健康日本21」には、60歳80歳の人に対する行動指針としとて、“定期的に歯科検診を受けている者を30%以上に”“定期的に歯石除去や歯面清掃を受けているものを30%以上に”40歳代50歳代の目標を“プロフェッショナルケアを受けること”としてあります。
■歯科医学から口腔健康科学の発想へ
京都大学教授 西村周三先生講演
現在の日本経済を私達は、20歳位の青年期と思っている事が多いが、実際は50歳代の壮年期を迎えており、これから老年期に向かって行く、つまり「成長経済から成熟経済へ」と発想の転換が必要なのである。人間の身体で壮年期と言えば将来かなりのリスクを抱える事になるが、経済も同様であり、国としてのリスクを抱える事になる。
先ずは歳出削減の問題である。経済の成長が止まり成熟経済になれば税収が減少するので、経費削減をして歳出を押さえなければならず、必然的に「構造改革」が必要となり、現在の議論となっているのである。
我々は国に頼らない生活を目指す必要性に迫られている。 総医療費の増加に伴い医科に要する費用は伸びを見せているが、その中の歯科医療費の占める割合は、80年(昭和55年)位をピークに減少し、また歯科医の収入も明らかに減少傾向である。
歯科では今だに治療中心的な所謂「修理工場」のような事に終始している結果と考えられる。
さて、今後の歯科医療を含めた医療を展望すると、その方向性は「自己責任」を重視する考え方となろう。一人一人の生活の多様性というものに即した医療のあり方は、今後益々求められ、集団的なものから各個人の個別の事情に対応したあり方へと変えていかねばならず、例えば検診でも集団検診から、本日プレゼンテーションされた一人一人の状況に応じたデンタルドックのような形になるべきであろう。正に質が問われるのである。また、一方で平等性を保ちながら、また一方で個人の多様性を確保しようとすると、お金の問題が避けては通れない。今後は「予防」という事に焦点を当て、私たちが部分的に自発的にお金を払うという仕組みに転換していかざるを得ないのではないだろうか。
■包括歯科医療30年の実績
川村泰雄先生講演
日本人の寿命は「人生僅かに50年」と言われた時代から、今では80年という時代となってきた。この長寿社会出現の背景には、一般医療において予防という内容が組み入れられ、私達の健康観と言うものが大変高いレベルになってきたと言う事があげられる。
しかし、歯科医療においてはどうであろうか?50歳を過ぎ、加速度的に歯の数は減っていき、60歳で12本、70歳で8本、80歳で4本と言った状況である。この現状は「Quality
of life」にとって切実な問題である事は言うまでもない。
日本の歯科医療は、歯の修繕の歯科医学ではなく「Oral Health Science 口腔健康科学」という形に考え方を転換させていく必要があるのではなかろうか。歯科疾患は生活習慣病の一つである以上、生涯にわたって口の健康を維持していく体制を個々の診療所で作り、生活を支える医療であると言う姿勢を持つことが結果として「QOL」の維持向上に繋がっていくのである。
25年にわたる予後管理の疫学的データからも、小児期より成人後期も定期的メンテナンスを継続的に受けた人は、確実に8020を達成する事が出来る。35歳まで初期治療を受けメンテナンスを継続した場合も、8020の可能性がある。35歳を過ぎても初期治療の後、メンテナンスをする事により8018の可能性があることを実証する事が出来た。この事の為には、最初の関所であるデンタルドックを受け、口の健康、包括的な歯科医療の大切さを、患者さんに理解してもらう事が重要である
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